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リウマチと靴の研究
原点
ニコニコ靴工房で製作する下肢装具や靴型装具の中で慎重になるのはリウマチ疾患の方です。

大変に難しいです。

発症原因は、まだはっきりわかっていません。
リウマチは多発性関節炎により全身の関節に症状がでます。
関節炎が進むと、手や足の指に特有の変形が起こり、日常生活動作が妨げられます。

リウマチ疾患の方の下肢装具や靴型装具は大変に難しいです。


リウマチ(RA)疾患の方々の御苦労は健常者の人達には想像ができないくらいの壮絶な我慢と忍耐力が必要でしょう。

私は、早稲田医療専門学校 義肢装具学科に入学いたしました。

早稲田医療専門学校 義肢装具学科1学年の時に、第10回日本義肢装具学会の東京大会が、東京大学 安田講堂にて開催され、私もその大会に学生として参加させていただきました。

その公開シンポジウム『装具治療の現行と将来』のパネラーとして、当時の日本リウマチ友の会理事長 島田廣子さんによる靴型装具の使用者の立場からの意見がだされていました。

1、品質の向上

2、サービス業としての努力をして欲しい


リウマチ(RA)患者にとっての重要な履き物について、未だ十分に対応されていないのが現状であると意見をされていました。

私も靴関係の仕事をしていた経験から、リウマチ(RA)疾患の方と知り合う事がありました。
しかし、納得できる対応が出来ずに、自分のふがいなさに情けなく思っていました。

島田さんの講演を聴き、早稲田医療専門学校 義肢装具学科での勉強の大きな目標が決定しました。
1学年からリウマチ靴についての準備に取りかかりました。

早稲田医療専門学校 義肢装具学科の3学年時には、一年間を通しての卒業研究が課題として一人一人に与えられ、研究項目を自分で決めて、最期に研究論文として卒業単位が認められます。全国の義肢装具士の養成校の中でも一番真剣な学校の一つでしょう。

その時に、学務主任の先生から紹介していただいたのが、当時、日本リウマチ友の会役員のKさんでした。

Kさんは、靴にうるさい事で有名な人でした。
30年も前から、リウマチ(RA)疾患と靴の重要性を訴えてきた素晴らしい先見の人です。

最初に、Kさんから注意された事は、
『リウマチ(RA)疾患の靴に興味を持っていただけるのは、大変に嬉しいけど、いい加減な気持ちでは困ります』
『研究するのなら真面目に結果を出してくださいね』

Kさんからのアドバイス等を参考にして、卒業研究をまとめて卒業論文を完成する事ができました。

今の自分があるのも、卒業研究をきっかけにKさんと知り合いになれた事が大きいです。

今、リウマチ(RA)疾患の方々の靴の原型は卒業研究の中で、実際に試作したリウマチ靴が原点です。

それから10年、理論的な研究に裏付けられた技術と素晴らしい新素材を多く取り入れた研究の成果がニコニコ靴工房の靴です。

ニコニコ靴工房が設計製作するリウマチ靴は、日本中でトップクラスの技術を持っていると言えるでしょう。
整形靴
整形靴の設計製作する上での注意点
 
@医師の処方に基づいた物である事

A処方に基づいた採寸・採型である事

B処方に基づいた靴木型製作及び靴木型を基本とした使いこなせる技術がある事

C処方に基づいた整形靴製作技術がある事

D整形靴製作過程に処方目的にかなった材質選択をする事

E患者さんに処方に基づいた整形靴の目的、デザイン、材質等を事前に説明する事

整形靴の一番重要な点は、治療目的の為の物です。しかし、整形靴は普通の既製品靴と同様に履物です。
被服同様に患者さんの好みもあり、患者さんの好みに対応が可能かどうか、判断して説明する事が重要である。
色、デザイン、履物意匠など他の装具にない特徴を持つ

リウマチ靴の製作工程

 1)観察・採寸・採型

 2)靴木型製作・靴木型加工

 3)型紙作り

 4)部品作り(アッパー・足底板・本底)

 5)仮合わせ靴底付け(釣り込み)

 6)仮合わせ

 7)修正

 8)納品用靴の部品作り

 9)納品用靴の底付け(釣り込み)

10)仕上げ

11)適合検査(納品)

12)リウマチ靴納品後の点検


1)観察・採寸・採型
観察・採寸・採型

リウマチ疾患の方の靴を設計製作する上で、一番重要です。

観察とは、リウマチ疾患の方のお体の状態を把握する事です。

今現在の問題点、過去に何かの原因が有ったのか?、将来どのような問題が起こる可能性があるかを分析する事です。

靴製作依頼を請けて、観察からスタートします。

この観察を疎かにすると、なかなか合わない靴になります。

リウマチ疾患の方の靴を設計する上で、観察を間違うと採寸・採型もまったく違うものになってきます。

観察・採寸・採型

足の寸法を測ります。

主な計測点は、足長・足囲(ボールガウス)・足幅・その他。


計測する上で注意すべき点

足の大きさは、測る時間・測る姿勢(座位それとも立位)でも数値が異なります。測るメジャーの引っ張り方により10oも違ってきます。
目的に応じた時間や姿勢、メジャーの引っ張り方を注意すべきです。

外見上の顕著な変形を製作カルテに記録する。
採寸用紙にトレースした図面に記入しておく。

採型採寸の注意点


靴には差高が有ります。

差高のある木型を使用する場合、採型・採寸時に差高分を計算しないと足のボリューム寸法に大きな誤差が生じます。

この事は、大変に重要です。

誤差の生じるような、いい加減な採型・採寸により完成した靴は、結果として足に合わない、履き心地に違和感を生じる可能性があります。


観察・採寸・採型

採型には整形靴と特殊靴とに分かれます。

医師の処方が矯正目的の場合には矯正位で採型をし、医師の処方が補高目的の場合には望ましい補高の高さで採型をします。

整形靴の場合は、採型した陰性モデルから作られた陽性モデルは、整形靴の靴木型に修正などを加え整形外科靴木型を完成させる為の足の特徴を示すためのモデルとして示す物です。

特殊靴の場合は、石膏ギブスの陰性モデルから石膏や発砲樹脂を流した陽性モデルが、特殊靴製作の作業台となる特殊靴木型になります。
特殊靴は、足底部を支える足底板(インソール・アインラーゲン)と特殊靴木型が必ず一体となって靴木型となります。

したがって、足型陽性モデルから製作した特殊靴は、足と足底板(インソール・アインラーゲン)と特殊靴がすき間なく一体となって、整形外科矯正や整形外科補高が可能になります。


2)靴木型製作・靴木型加工
木型製作工程が大変に重要です。

完成した整形靴や特殊靴が医師の処方どうりの機能性があり、リウマチ患者さんに受け入れられる履き心地を有するかは、この工程の設計製作に左右されます。

ニコニコ靴工房が製作する整形靴・特殊靴の採寸採型には、大変に神経を使います。
この工程で靴の適合まで(3〜12)の総てが決まってしまいます。
3)型紙作り
整形靴、特殊靴は、治療目的(機能重視)の装具です。
しかし、整形靴、特殊靴は普通の既製品靴と同様に足を覆う履物です。
被服同様にファッション的要素があり、色・デザイン・履物意匠など他の装具にない特徴があり、患者さんの好みもあります。
患者さんの好みに対応が可能かどうか、判断して説明する事が重要です。

その上で整形靴、特殊靴の機能的デザインが決定します。
機能的デザインとは、治療目的(矯正・補高など)のために製作された特殊靴木型や整形靴木型に基づいて作られる靴の補強・支持・耐久性・脱ぎ履きの簡易さなど患者さんのお一人お一人の体の状況に合わせ、総てをまとめた結果が医師の処方に基づいた物でなければなりません。

整形靴や特殊靴の機能的デザインを設計製作する技術者に求められるものは靴製作技術だけではなく、材料学・バイオメカニズム・解剖学をはじめとする義肢装具の学問が必須です。

機能的デザインに基づいた履物意匠から作られる型紙がとても重要であり、大変に難しいです。

4)部品作り(アッパー・足底板・本底)
アッパー・足底板・本底

アッパー(製甲)に使用される革は様々です。

柔らかく薄い革は、ブカブカのびのび靴になりやすく、ブカブカのびのび靴は足部の支持性に欠けて、下肢のアライメントに問題を起こす可能性があります。

柔らかく厚みのある革は、ソフトに足を包み、足部を支持して下肢のアライメントの安定を保障します。


機能性だけでは無く、デザイン性から見ると革の色も重要な要素になります。

整形靴木型、特殊靴木型のデザインから、型紙を製作します。
(洋服を作る時の型紙を想像されてると理解しやすいです)

アッパーには、いろいろな革を使用します。

一枚の革から型紙に基づいてカッティングしていきます。

カッティングした革を製甲ミシンで縫いあげます。


機能的デザインで重要な点があります。

靴製作方法です。

主なものをあげると、グットイヤー・ウエルト製法、マッケイ製法、セメント製法などがあります。

医師の処方に基づいた靴製作方法は、重要な要素になり機能的デザインにも深く関係してきます。

機能性を求められる整形靴や特殊靴にとって、医師の処方と患者さんの状態に対応した靴製法が重要です。

ニコニコ靴工房では、医師の処方や患者さんの状態により、靴製法から検討し、一番良い選択をして靴の設計をしています。

アッパー・足底板・本底

リウマチ靴の足底板の素材も重要です。

硬すぎても痛いです。

柔らか過ぎると変形を予防できません。

柔らかく足を包み、固い支持性で変形予防する事です。
医師による処方の矯正・補高に基づいた採寸・採型から製作された整形靴木型、特殊靴木型のアライメントを補う働きをする足底板は重要です。

靴と足裏の間に存在する足底板は矯正補高の効果だけで無く、身体全体のアライメントにも多大に影響します。

義肢装具学の生体力学(義足製作、装具製作の力学)の応用により足底板は作られなければなりません。その足底板により整形靴、特殊靴の矯正、補高が可能となります。

ブカブカ靴(のびのびの靴)では、足と靴の不一致が起こり、足底板の矯正補高の目的が達成されず、身体全体のアライメントまで崩れてきます。

ブカブカ靴(のびのび靴)では、変形予防の支持性を実現する事は不可能です。

アッパー・足底板・本底

リウマチ疾患の方の整形靴、特殊靴の本底は重要です。

1、クッション性が良い

2、軽量

3、耐久性がある

この3つの要素を満たす本底素材を使用する事が大切です。

ニコニコ靴工房では、リウマチ疾患の方の整形靴、特殊靴用の本底を十数種類以上準備しています。

お一人お一人の症状に合わせて本底を選らび、また本底素材を組み合わせたりして本底素材を設計しています。

リウマチ靴の本底設計で地面と本底の摩擦を考慮する事が重要です。

本底素材が滑り過ぎても危険です。

本底素材がグリップ力が強く、滑らなくても危険です。

リウマチ患者さんの多くが関節に障害を持っている事から、正常歩行とは違うリウマチ患者さん独特の歩行によるからです。

簡単に説明すると、滑り過ぎず、在る程度スムーズに滑り、本底が消耗しない摩擦に強い機能が求められます。

この条件を満たすリウマチ靴の本底を使用するとリウマチ患者さんはニコニコ笑顔になります。

アライメントを考える上で、本底の安定設計が大切です。

本底に安定性が無いとリウマチ患者さんが安心して歩く事が出来ません。

長期的に関節に負担がかかり、関節変形を起こす危険があります。

本底の安定設計は基本中の基本です。

5)仮合わせ靴底付け(釣り込み)



6)仮合わせ
本番用の革とは異なる革を使用して、仮合わせ用の靴を一足製作します。
仮合わせ靴で試歩行します。
アッパー(製甲)に無理な皺が寄っていないか、蹴りだし時に足にフィットしているかをチェックします。
仮合わせ靴での試歩行は、設計上の歩行安定性をチェックする重要なチェックポイントです。
ここでの仮合わせ靴チェックが整形靴・特殊靴の総てを決定します。


ぎそく
ニコニコ靴工房で製作する整形靴及び特殊靴の設計製作の基本は、義足の設計製作方法と同じです。
義足の設計製作アライメントと整形靴・特殊靴の設計製作アライメントの基本は、まったく同じです。
義足と整形靴と特殊靴の設計製作アライメントには、生体力学や解剖学などが重要になります。

義足のアライメントとは、「義足の構成要素である大腿ソケット、パイプ、膝継手、足継手および足部のtoe breakなどの位置関係」

アライメントが不適切であれば、歩きにくくなるだけでなく「異常歩行」を生じることになります。
義足のアライメントには、@ベンチ・アライメントA静的アライメントB動的アライメントがあります。 


仮合わせ靴 No1
仮合わせ靴はヒモ靴になります。
整形靴木型・特殊靴木型から製作したアッパー(製甲)とリウマチ患者さんの足部がジャストフィットしているか判定しやすいヒモ靴が仮合わせ靴になります。


仮合わせ靴 No2

透明なトレラッククリアー(熱可塑性樹脂)を用いて透明靴を作ります。
透明素材を用いる事で足の状態をチェックする事が可能です。
リウマチ患者さんの足は、足趾が重なっている場合が多いです。靴のつま先部分の高さ余裕を計測しておく事は最重要項目です。
重なっている足趾の圧迫は禁忌です。


仮合わせ透明靴チェック

chek2

トレラッククリアー(熱可塑性樹脂)で製作した透明靴を履いて、適合チェックをします。

透明靴から足部の様子をチェック

@ゆるい箇所
A強い圧迫箇所
B弱い圧迫箇所

などをチェックして、透明靴に@〜Bの箇所を記入します。

chek3
何故?このような手間ひまかけて、仮合わせ靴を作るのでしょうか?

そうなんです。手間ひまかけた仮合わせ靴の情報が貴重なのです!

靴を科学的に分析する上で、本番用の革とは異なる革を使用した仮合わせ靴とトレラッククリアー(熱可塑性樹脂)で製作した透明靴が必要です。


本番用の革とは異なる革を使用した仮合わせ靴と透明靴で、整形靴木型と特殊靴木型の適合をチェックします。
このチェックから整形靴木型と特殊靴木型を修正するための重要な情報を得る事ができます。


7)修正

仮合わせ12
足+足底板
足型から製作した整形靴木型・特殊靴木型+足底板
仮合わせ用のトレラッククリアー(熱可塑性樹脂)で製作した透明靴+足底板
仮合わせ11
足+足底板
足型から製作した整形靴木型・特殊靴木型と本番用の革とは異なる革を使用して、仮合わせ用の靴+足底板
仮合わせ用のトレラッククリアー(熱可塑性樹脂)で製作した透明靴+足底板


ニコニコ靴工房では、科学的Evidence(根拠)に基づいて整形靴・特殊靴を設計製作しています。
個人の曖昧な経験や直感に頼らず、現在最も適切とされる整形外科靴製作技術をリウマチ患者さんお一人お一人に対して提案をしています。


靴のマジックベルト(ベルクロテープ)

仮合わせの時に、リウマチ疾患の方の手の状態を考えた提案をします。

@マジックベルトの位置と角度

Aマジックベルトの数

Bマジックベルトの巾

Cマジックベルトを折り返すカン

●リウマチ靴のマジックベルト

●リウマチ靴のカン
ニコニコ靴工房では、ローラー付きのカンを使用しています。
手に力がはいらず弱い力でも、カンのローラーが回り、確実にマジックベルトを楽々にしめる事が可能となります。
大変に便利です!

●リウマチ靴のマジックベルトとカン

手に障害が認められる場合には、靴を脱ぎ履きをする場合を想定し、お一人お一人に合わせることが重要です。

リウマチ疾患の方は、足だけでなく手にも障害が起こります。

ニコニコ靴工房の設計製造する整形外科靴は、足の変形予防と痛みを少なくして、楽に歩行が出来るように作られています。

ニコニコ靴工房の整形外科靴は、足と靴が一体になる設計です。
もし、靴の中で足が前後左右に動く状態では、靴が正しく足を支持することは不可能です。
靴が正しく足を支持出来なければ、足の変形予防など不可能です。

靴と足を一体にするためには、マジックベルトをしっかり締める事が重要です。どうしても、しっかり締め付けるには、強くベルトを引っ張らなければなりません。

手に障害の多いリウマチ疾患の方は、マジックベルトをしっかり締める事が出来ない場合が多いです。その時、このローラー付きカンが有効になります。ベルトとカンが一緒に回転し、少ない力で確実にマジックベルトを締める事が可能になります。

したがって、手に負担がかからずに靴と足が一体になるわけです。

足と手の変形予防にローラー付きのカンが有効に働いています。



8)納品用靴の部品作り

9)納品用靴の底付け(釣り込み)

10)仕上げ

11)適合検査(納品)
12)リウマチ靴納品後の点検
 
目次
原点
整形靴
リウマチ靴の
製作工程
観察・採寸・採型
靴木型製作
靴木型加工
型紙作り
部品作り(アッパー・足底板・本底)
仮合わせ靴底付け(釣り込み)
仮合わせ
修正
納品用靴の部品作り
納品用靴の底付け(釣り込み
仕上げ
適合検査(納品)
リウマチ靴納品後の点検